バイデン米大統領は24日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国IT大手に米国事業を360日以内に売却するよう求める法案に署名し、法律が成立した。期限までに売却に応じなければ、アプリ配信が禁止される。しかし、バイデン氏の陣営は11月の大統領選に向けてアプリを使った選挙運動を続ける方針だと報じられており、矛盾が指摘されている。
今回の法律は、米国の世論誘導や中国政府による情報収集に悪用される懸念から、連邦議会主導で制定された。米国内では若者を中心に約1億7000万人がTikTokを利用しているとされる。利用禁止につながる法律は「表現の自由の侵害だ」との反発が出ていたが、バイデン氏は拒否権を行使しなかった。
しかし、NBCニュースによると、バイデン氏の陣営関係者は「メディアが多様化する状況で、我々は自分から出て行って、有権者に接触する必要がある。TikTokは有権者にコンテンツを確実に見てもらえるメディアの一つだ」と説明。中国企業の運営下でも使用を続ける考えを示し、24日も新しい動画を投稿した。
TikTok側は24日の声明で「法律は違憲であり、法廷で争う」と述べた。中国政府が売却を認めない可能性や、別のIT大手が買収すれば独占禁止法に抵触する恐れも指摘されている。ホワイトハウスのジャンピエール報道官は24日の記者会見で「我々は利用禁止ではなく、事業売却を求めている。中国政府も売却を認めるべきだ」と述べた。【ワシントン秋山信一】
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