米共和党全国大会で壇上に上がったトランプ前大統領(左)とメラニア氏=2024年7月18日、ロイター

 共和党のドナルド・トランプ前大統領の妻メラニア氏は3日、近く出版する回顧録の宣伝動画をX(ツイッター)に投稿し、人工妊娠中絶の権利を支持する姿勢を示した。人工妊娠中絶問題は11月の大統領選で大きな争点の一つ。中絶に厳しい共和党や、曖昧な姿勢をとるトランプ氏とは異なる立場で注目を集めている。

 回顧録「メラニア」は8日に発売される予定。動画では「個人の自由は私が守るべき基本原則だ」としたうえで、「間違いなく、全ての女性が生まれながらにして持つこの不可欠な権利に関しては、妥協の余地はない」などと語った。

 回顧録のコピーを入手したという英ガーディアン紙が報じた抜粋によると、メラニア氏は「個人の自由という女性の基本的な権利は、希望すれば妊娠を中絶する権限を女性に与えている」と指摘。「望まない妊娠を中絶するか否かを選択する女性の権利を制限することは、女性の自身の身体に対するコントロールを否定することと同じだ」などと記しているという。

 米国では、連邦最高裁が2022年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利だと認めた1973年の憲法判断を覆し、各州の判断で中絶を禁止することを容認する判断を示した。

 トランプ氏は、自身が大統領在任中に保守派判事3人を指名したことがこの判断につながったと保守支持層に向けて誇っている。一方で、女性や無党派層を念頭に、中絶に関しては各州の判断に委ねるべきだと繰り返し、連邦議会が中絶を一律禁止する法案を可決しても署名しないと表明している。【ワシントン西田進一郎】

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