ガザ地区から救出され、親族と再会したヤジディー教徒の女性とされる動画の一場面=イスラエル政府のX(ツイッター)への投稿より
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 イスラエル軍は3日、パレスチナ自治区ガザ地区でヤジディー教徒の女性(21)を救出し、母国のイラクへ戻したと発表した。女性は2014年、11歳のときに過激派組織「イスラム国」(IS)に誘拐され、ガザ地区の住民に事実上の奴隷として売り渡されていた。

 イスラエル軍やイラク外務省などによると、女性はガザ地区で拘束されていたが、昨年10月に始まった戦闘により拘束者が死亡したため逃亡に成功。そのままガザ地区内に隠れていた。

 イスラエル軍は米国などと協力して「秘密作戦」を展開。女性は無事にガザ地区を脱出し、イスラエルとヨルダンを経て、イラクの家族の元に戻った。救出まで「4カ月以上にわたる努力」(イラク外務省)が続いたという。

 ヤジディー教はキリスト教やゾロアスター教などが混交した宗教で、イラク北部を中心に推定約50万人が信仰している。ISは「悪魔崇拝」とみなして信者を虐殺した。約5000人が殺害されたほか、多くの女性が「性奴隷」として誘拐された。

 ISは14年、イラクとシリアの一部地域を「領土」として「建国」を宣言し、勢力を拡大したが、米軍などの掃討作戦により、19年に支配地域を失った。【カイロ金子淳】

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