7月に発足した英労働党政権のスターマー首相が、10月5日で就任3カ月を迎える。不祥事続きだった保守党から14年ぶりに政権を奪還し、当初は期待も高かったが、最近は支持者から高級スーツなどの贈り物計10万ポンド（約1950万円）相当を受け取っていた問題も発覚し、支持率は下がり続けている。
「受け取った贈り物はきちんと（議会に）申告している。規則は守る」。9月に高額贈答品の受領問題が報じられた後、スターマー氏はそう釈明した。
英メディアによると、スターマー氏は2019年以降、「仕事着」1万6200ポンド（約315万円）、「メガネ数点」2485ポンド（約48万4000円）、米人気歌手テイラー・スウィフトさんのコンサートチケット4枚分4000ポンド（約78万円）などのほか、サッカーのイングランド・プレミアリーグで自身が応援するアーセナルの試合の多数のチケットも受け取っていた。
大口の贈り主は、オンラインファッション小売業などで財を成した富豪のワヒード・アリ上院（貴族院）議員で、首相の妻ビクトリアさんも同様に高額の衣類を受領していた。
これらの贈答品や寄付の大半は申告済みで、法律には違反しないと報じられている。一部で申告漏れもあり、野党・保守党は「違反の疑いがある」と調査を求めたが、首相官邸の報道官は「見落としただけで、修正申告した」と述べ、問題は解決済みとの立場だ。
ラミー外相も9月、英BBC放送の番組などで、首相夫妻は国際舞台で「最高の装い」をする必要があるため、贈り物を受け取るのは問題ないと擁護した。
だが財政難の中、スターマー政権は年金生活者への暖房費補助の削減方針を打ち出すなど、冬の到来を前に国民生活は厳しさを増している。この状況下で発覚した今回の問題に有権者の視線は厳しい。英調査会社ユーガブによると、政権発足直後の7月17～18日の世論調査で44％だったスターマー氏の支持率は、9月20～22日は30％まで落ち込んだ。他の世論調査でも同様の傾向になっている。【ロンドン篠田航一】
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