自民党の麻生副総裁を笑顔で迎えたのは、トランプ前大統領。この会談の約2週間前に行われたのは、岸田総理とバイデン大統領の会談です。この2つの会談、それぞれの狙いがどうやら違うようです。

■麻生氏×トランプ氏“笑顔の会談”

 前を通る車列に支持者が歓声を上げました。車から降りてきたのは、トランプ前アメリカ大統領(77)です。ニューヨーク中心部のトランプタワーへと入っていきました。

 続いて到着した車から降りてきたのは、麻生太郎自民党副総裁(83)。トランプ前大統領との会談に臨んだのです。

トランプ氏
「日本からだ。たくさんだ」
麻生氏
「本当かい」
トランプ氏
「有名人だ。そうだろ」

トランプ前大統領
「日本だけでなく、海外でも尊敬されている人物だ。私も好きで、互いの大切な友人、晋三を通じて知り合った。我々は晋三を愛している。とてもとても偉大な男だった」

 麻生副総裁は去年の暮れからトランプ前大統領との面会を模索し、1月にもアメリカを訪れています。

 そして今回、会談が実現しました。もちろん念頭にあるのは“もしトラ”。11月の大統領選で「もし、トランプ氏が再び当選したら」だとみられます。

 麻生副総裁の動きに日本政府は…。

林官房長官
「麻生副総裁の訪米は一議員として行われたものと承知をしております。政府として関与していない一議員の立場についての活動について、コメントすることは差し控えたいと思います」

 あくまで政府としては無関係の立場。ただ、ある岸田総理の周辺は麻生副総裁独自のセンスで、つながりが重層的になって厚みが出るのは良いことだと歓迎しています。

 タイミングとして適切だったのか、国会で問われました。

立憲民主党 小熊慎司議員
「もしもの時の色んなリスクヘッジというか、関係性をやっておかなきゃいけないっていうのもこれ現実としては分かりますが、ただ、そのタイミングとかっていうのはあると思うんですよね」

上川外務大臣
「それぞれの国会議員がそれぞれの判断のなかで行動するということでございます。それについて私が今、外務大臣としてお答えするということについては差し控えさせていただきたい」

 アメリカには2週間ほど前、岸田総理が訪れたばかりです。バイデン政権は国賓として歓迎しました。

小熊慎司議員
「タイミングとしては今回、あれだけ厚遇を受けた後の話というのは、ちょっとやっぱり下品とまでは言わないけれども下手だったなって思います」

■麻生氏と満面の笑み トランプ氏の狙いは

米国政治に詳しい早稲田大学 中林美恵子教授
「諸外国のリーダーが自分を訪ねてやってくるということは、トランプ氏がどんなに重要な人物かとアピールするチャンスになるのではないか」

 トランプ前大統領は先月からハンガリーやポーランドの首脳、イギリスの外務大臣らとの面会を繰り返しています。

 一方、岸田総理を国賓としてもてなしたばかりのバイデン政権は…。

中林美恵子教授
「公式にこれを非難する立場にはないだろうと思います。多分、内心は穏やかではないだろうと」

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