11月5日の米大統領選に向けて、民主、共和両党の副大統領候補によるテレビ討論会が1日夜(日本時間2日午前)、東部ニューヨークで開かれる。選挙戦が終盤を迎える中、両陣営の「直接対決」は今回が最後になる可能性があり、接戦州での支持の上積みを意識した論戦が予想される。
討論会は90分間の予定で、民主党の中西部ミネソタ州のティム・ウォルズ知事(60)と共和党のJ・D・バンス連邦上院議員(40)が参加する。CBSニュースが主催し、「聴衆なし」「発言要領の持ち込みなし」などのルールは大統領候補の討論会と同様だが、今回は相手の発言機会中もマイクがオンになる。
討論会では移民政策やインフレ(物価高)、人工妊娠中絶など内政の争点のほか、緊迫する中東情勢も議題に上る可能性がある。2人は、民主党のハリス副大統領、共和党のトランプ前大統領のそれぞれの「代弁者」として政策論争を繰り広げる。
ウォルズ氏には、バンス氏の過去の失言という格好の攻撃材料がある。ハリス氏らを「子なしの猫好き女性」と侮辱したり、「ハイチ移民がペットをさらって食べているという報告がある」と陰謀論を公言したりしたことは、穏健派には不評だ。トランプ、バンス両氏の言動や指導者としての資質に疑問符を付け、浮動票を引き寄せる戦術をとるとみられる。
バンス氏は、ウォルズ氏が知事として「急進左派の政策を実行した」と批判している。ハリス、ウォルズ両氏に「過激なリベラル」とレッテルを貼ることで、極端な政策を嫌う無党派層にアピールする狙いがある。トランプ氏が9月のハリス氏との討論会で、具体的な政策を十分説明できなかった経緯があり、バンス氏にはこうした面を補う役割も求められる。
ウォルズ、バンス両氏は、ともに中西部出身の白人だが、語り口は対照的だ。ウォルズ氏は温厚さを演出するのがうまく、バンス氏は理知的で弁が立つ。討論を通して、有権者にどういうイメージを与えられるかも重要になる。
今回の大統領選では、6月にトランプ氏と民主党のバイデン大統領、9月にトランプ、ハリス両氏の討論会が開かれた。ハリス陣営は10月下旬に再度討論会を開くよう求めているが、トランプ氏は消極的な姿勢を崩していない。【ワシントン秋山信一】
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