レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を巡り、イスラエル軍が1日、レバノン南部への地上侵攻に踏み切った。レバノン国内では侵攻前から緊張が高まっていたが、混乱が広がる可能性がある。
レバノン南部では国連レバノン暫定軍(UNIFIL)やレバノン軍が駐留し、紛争防止などを目的に平和維持活動を続けてきた。だが、ロイター通信などによると、レバノン軍は9月30日、南部の国境沿いに駐留していた部隊を5キロ後退させた。イスラエルの地上侵攻に備え、巻き添えを回避するためだったとみられる。
国境付近ではこれに先立ち、バイクに乗っていたレバノン軍の兵士1人がイスラエルの無人航空機による攻撃で死亡した。レバノン軍に死者が出たのは、23日にイスラエルの大規模な空爆が始まって以来初めて。
イスラエル軍の空爆は30日も首都ベイルートの市街地を含む各地で相次ぎ、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、少なくとも95人が死亡、172人が負傷した。ベイルート南郊では1日未明にも複数の爆発があった。避難民もあふれており、国連難民高等弁務官事務所のまとめでは、すでに10万人以上が隣国シリアへ逃れた。
また、ロイター通信によると、ドイツは空軍機により大使館の一部職員や医療的に必要があるドイツ人をレバノンから退避させた。日本を含む各国も自国民に対し、レバノンからの退避を呼びかけている。
ただ、レバノンには商用便が就航している国際空港はベイルート1カ所しかない。今回の衝突を受けて運航を中断している航空会社も多く、予約が取りにくい状況が続いているという。【カイロ金子淳】
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