イスラエル軍の空爆後、がれきの中を歩く少年=ベイルートの北部で2024年9月26日、ロイター

 イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を巡り、ネタニヤフ首相は26日、「ヒズボラを全力で攻撃し続け、北部の住民を安全に帰還させるまでは攻撃をやめない」と述べ、戦闘を続ける考えを示した。米国などは21日間の停戦案を示し、双方が近く合意する見通しだとする報道も出たが「北部での戦闘を抑える指示は出していない」と報道を否定した。

 イスラエル紙ハーレツによると、ネタニヤフ首相は当初、停戦案を支持する考えだったが、国内から反発を受けて、否定的な考えに転換したという。連立政権の一角を担う極右政党党首のベングビール国家治安相はヒズボラへの攻撃を継続するように求め、停戦に合意した場合は連立を離脱すると示唆。中道や左派の野党からも停戦期間を短くするように求める声が出ている。

 イスラエル軍は26日、レバノンとの国境付近で地上戦を想定した軍事訓練を行い、ヒズボラをけん制。レバノンとシリアの国境の検問所付近を空爆した。ヒズボラを支援するイランからの武器の密輸を防ぐのが狙いとみられ、イスラエル空軍の司令官は「武器密輸の阻止は、最も優先される任務になりつつある」と述べた。

 イスラエル軍は26日もレバノンの空爆を継続。首都ベイルートを空爆し、ヒズボラの空軍部隊の幹部を殺害したと発表した。ロイター通信によると、この空爆で、2人が死亡、15人が負傷した。前日夜から26日にかけての死者は28人になった。一方、ヒズボラも、イスラエル北部に向けて150発のロケット弾を発射しした。【エルサレム松岡大地】

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