イスラエル軍のトップが中東レバノンへの地上侵攻の可能性に言及する中、アメリカのバイデン大統領は「全面戦争もありうる」と危機感を示しました。こうした中、アメリカ政府は21日間の一時停戦を呼びかける共同声明を日本などと出しました。

攻撃の応酬が続くイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ。25日にはイスラエル軍がヒスボラの拠点など280か所以上を空爆し、ロイター通信によると、少なくとも72人が死亡しました。

一方、ヒズボラもイスラエル中部テルアビブ郊外にある情報機関「モサド」の本部に向け、弾道ミサイル1発を発射したと発表。ヒズボラが射程の長いミサイルでテルアビブ郊外に攻撃するのはこれが初めてで、イスラエル軍はミサイルを迎撃したとしています。

また、イスラエル軍は予備役の2つの旅団の招集を決めたことに加え、軍トップのハレビ参謀総長がレバノンへの地上侵攻の可能性に言及するなど、事態はさらにエスカレートしつつあります。

国連のIOM=国際移住機関によると、レバノンでは今月19日以降、新たに9万人以上の住民が避難を余儀なくされているといいます。

そんな中で開催された国連安全保障理事会の緊急会合。

フランス バロ外相
「我々はアメリカ側と、21日間の一時停戦案について協議してきました」

アメリカ政府はフランスや日本などとの共同声明を発表し、イスラエルとヒズボラに対し、21日間の一時停戦を求めました。しかし…

イスラエル ダノン国連大使
「私たちは脅威を取り除くため、我々の権利の範囲内で、国際法に従い、必要なあらゆる措置を講じる」

イスラエル側は「自国民が攻撃をされて黙っている国はない」と、自衛のための攻撃を主張しました。

対して、レバノン側も電子攻撃やサイバー攻撃、海や空から攻撃してくる敵の犠牲者だと反論。

アメリカのバイデン大統領が「全面戦争もあり得る」と述べるなど、危機感が一層高まっていますが、これまでのところ、関係各国は全面衝突を回避する具体的手立てを見いだせていません。

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