米ホワイトハウスで記者団に対応するバイデン大統領=2024年9月22日、AP

 バイデン米大統領は22日、イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの交戦が激化していることについて「心配している」と記者団に述べた。パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘も続いており、バイデン氏は「より幅広い戦争が起きないように、できることは何でもする。今も非常に努力している」と述べたが、中東での米国の影響力は低下しており、紛争激化に歯止めをかけられずにいる。

 バイデン政権は、イスラエルとヒズボラの戦闘が本格化すれば、イスラエルを巡る紛争が長引き、米国が巻き込まれる可能性も高まると懸念している。ヒズボラを支援するイランとイスラエルが衝突するリスクも不安視している。

レバノンからのロケット弾で破壊された車=イスラエル北部で22日、ロイター

 カービー大統領補佐官(広報担当)は22日、ABCニュースに「イスラエル北部の(避難中の)住民の帰還を実現するためには、ヒズボラとの間で第二の戦線を開くよりも、他にもっと良い方法があると信じている」と強調。ヒズボラへの攻撃を強めるイスラエルのネタニヤフ政権への不満をにじませた。オースティン国防長官も21日のイスラエルのガラント国防相との電話協議で「住民の帰還に向けて、外交的解決が重要だ」と伝えた。

 米国はレバノンに特使を派遣するなど、外交努力は続けているが、そもそも中立の立場ではない。「イスラエルへの攻撃を始めたのは、ヒズボラの方だ」(サリバン大統領補佐官)との姿勢で、中東に展開する米軍がイスラエル防衛を支援する姿勢も明確にしている。

 イスラエルが関与したとみられるレバノンでのポケットベルや無線機の一斉爆発事件を巡っても、「米国は関与していない」とするだけで、評価を避けている。

 イスラエルの一連の攻撃では、過去に米軍への攻撃に関与した疑いのあるヒズボラ幹部も殺害されている。【ワシントン秋山信一】

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