人工知能(AI)に関する国際的なガバナンスのあり方を検討してきた国連の諮問機関が19日、最終報告書を公表した。リスクや不確実性を独立して評価する「国際科学パネル」や、世界的なデジタル格差を埋めるための基金の設置など7項目を提言した。
報告書は、急速に進化するAIの開発が数カ国の多国籍企業の手に委ねられている現状を指摘。技術の応用についての発言権を持たない大多数の人々が影響を押しつけられる危険性があるとし、あらゆる当事者に人権に根ざしたAIのガバナンスで協力するよう呼びかけた。
提言では、AIに関する公平で信頼できる科学的知識を提供する「国際科学パネル」の設置を求めたほか、国連に政府間と多様な利害関係者が参加する定期的な対話の場が必要だとした。グローバルサウス(新興・途上国)などの研究者や起業家を支援する仕組みづくりも盛り込んだ。これらを支援するため、国連内にAI事務局を設置することも求めた。
諮問機関は専門分野と地域性を考慮しながら各国の学者や産業界などの39人で構成。日本からはソニーグループの北野宏明氏、東京大准教授の江間有沙氏が加わった。報告書は、22~23日に国連本部で開かれる未来サミットで議論される。【ニューヨーク八田浩輔】
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