【北京=三塚聖平】中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は23日に北京で会議を開き、学校などで国防教育を強化する「国防教育法」改正案の審議を始めた。中国は、社会全体で愛国的な教育を展開するよう求める「愛国主義教育法」を今年1月に施行したばかり。国防教育の推進も強化することにより政治体制の安定につなげる考えがあるとみられる。
国防教育法は2001年に施行し、18年に改正している。改正案の条文は現時点で明らかにされていない。中国国営新華社通信は改正案の主な内容として、国防教育の定義や位置づけ、指導思想、指導体制、職責を明確化したほか、学校における国防教育体系の整備に関する条文が盛り込まれたと伝えている。
新華社は、国防教育について「強固な国防や強大な軍隊を作り上げるための基礎的なプロジェクトだ」と指摘し、「愛国主義精神を発揚し、全国民の国防意識を増強する有効な手段」と強調した。愛国主義や戦時を意識した教育を推進し、国民をまとめ上げて中国共産党の求心力を高める思惑もうかがわれる。
全人代常務委の会議は26日まで開く。エネルギーの開発や利用に関する制度の整備などを定めた「エネルギー法案」や会計法改正案、統計法改正案などについても審議している。
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