複数のイスラエルメディアは16日、ネタニヤフ首相がガラント国防相の解任を検討していると報じた。イスラム組織ハマスとの戦闘を巡り、ガラント氏は現実的な対応を求めるなど、比較的穏健な立場とされる。仮にガラント氏が解任された場合、政権の強硬姿勢に拍車がかかる恐れがある。
ネタニヤフ氏は、パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界地帯にイスラエル軍の駐留を継続することに固執しているが、ガラント氏は人質の命を優先するべきだとの立場で、駐留決定がなされた治安閣議で唯一反対。ネタニヤフ氏が成立を目指す、大半の超正統派ユダヤ教徒を徴兵の対象から外す法案にもガンツ氏は反対しており、2人の間で緊張が高まっていた。
ガラント氏の後任には、右派野党で内相などの経験があるサール氏が候補に挙がっている。サール氏は、超正統派のほとんどを兵役の対象外とする法案に反対しておらず、停戦交渉の合意を「降伏」と呼ぶなど、ガラント氏より強硬的な立場とみられる。人質の家族らで作る団体は声明を出し、国防相の交代は「政府が人質の命を見捨てることを意味する」と非難した。
パレスチナに対して強硬的な極右政党党首のベングビール国家治安相は、X(ツイッター)に「数カ月間、ガラント氏の解任を求めてきたが、今こそ、実行する時だ」と投稿した。
ネタニヤフ氏の政権運営を巡っては6月、中道政党党首で元軍参謀総長のガンツ前国防相が、ネタニヤフ氏がガザの戦後の統治の計画を示さないことに抗議し、戦時内閣から離脱している。【エルサレム松岡大地】
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