11月5日の米大統領選に向け、民主党候補のハリス副大統領(59)と共和党候補のトランプ前大統領(78)が初めて直接対決する米ABC主催によるテレビ討論会が現地時間の10日、激戦州の一つ東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで開かれた。両候補は、経済、人工妊娠中絶、移民などの問題を巡り、激しい応酬を見せた。テレビ討論会終了の約5分後、トランプ氏は自身のSNSに、「みんな、今夜は大勝利だと言っている」と投稿し、勝利を宣言した。
しかし、CNNが直後に行った世論調査の結果によると、ハリス氏が勝利したとする有権者は63%に上り、トランプ氏の37%を大幅に上回った。今回のテレビ討論会におけるハリス陣営の作戦は、トランプ氏を挑発することで自制心の欠落を露呈させ、守勢に立たせることと指摘されている。トランプ氏の集会参加を視聴者に促したハリス氏は、「集会の最中、彼は(風力発電の)風車ががんを発症させると話します。途中で疲れ話に飽きて退席する人たちもいます」と、トランプ氏を揶揄し、苛立たせた。これに対し、トランプ氏は、「我々は政治史上最大の集会、最高の集会を開いています」と反論した。
討論会でトランプ氏が、「オハイオ州スプリングフィールドで、彼らは犬、猫を食べている。地元住民のペットを食べている。これが我が国で起きていることだ」と発言したことが物議を醸している。司会者が「市当局に確認したが、そのような事実はない」と否定する一幕もあった。トランプ氏は13日、自身が再選されれば、オハイオ州スプリングフィールドから、不法滞在のハイチ移民を対象に、大規模な強制送還を実施すると表明した。トランプ氏は、「不法滞在する2万人のハイチ移民が、5万8000人の町に押し寄せ、彼らの生活を破壊している」と主張した。
トランプ氏が最近、極右の陰謀論者・ローラ・ルーマー氏と行動を共にしていることが波紋を広げている。10日にトランプ氏がハリス氏とのテレビ討論会に向かう専用機に、ルーマー氏が同乗していたことが確認されて以降、2人の関係に注目が集まった。ルーマー氏は、2001年の米同時テロを政府の陰謀と主張する動画を投稿。また、ルーマー氏は、「インド系の母を持つハリス氏が大統領になれば、ホワイトハウスがカレーのにおいで充満する」など、SNSに差別的な発言を行っていた。トランプ氏は、「ローラ・ルーマーは私の支持者だが、彼女を管理しているわけではない。彼女が何を言ったのかは知らない」と関係性を否定した。
★ゲスト:津山恵子(NY在住ジャーナリスト)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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