米大統領選に向けたテレビ討論会で発言する共和党のトランプ前大統領=米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで10日、AP

 11月の米大統領選に向けた10日のテレビ討論会で、共和党候補のトランプ前大統領は「(ロシアの侵攻を受ける)ウクライナの勝利を望むか」との質問に対して明言を避けた。一方、詳しい説明はなかったものの「戦争を止めたい。大統領に就任する前に解決する」とも発言。米紙ニューヨーク・タイムズによると、米国の軍事支援の停止を恐れるウクライナ側で不安が広がっているという。

 トランプ氏は討論会で司会者から2回、「ウクライナの勝利を望むか」と聞かれた。トランプ氏は正面からの回答を避け、「私は(ウクライナの)ゼレンスキー大統領も(ロシアの)プーチン大統領も良く知っていて、良い関係だ」と主張。「この戦争を終わらせることが米国の最大の利益だと思う」とも強調した。

 ロシアとウクライナの戦争を「民主主義を守る戦い」と位置づけるバイデン米政権は、ウクライナへの軍事支援を続けている。ハリス副大統領も討論会で、ウクライナ支援の重要性を強調した。

 一方、ウクライナ側ではトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、領土の一部をロシア側に譲るなど望まない形での停戦を強いられるとの警戒感が根強い。トランプ氏の今回の討論会の発言で、ウクライナ側の懸念が改めて深まりそうだ。【ワシントン松井聡】

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