米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日、中国の秦剛前外相が中国外務省傘下の出版社に勤務していると報じた。元米政府高官2人の証言によるとしている。秦氏は2023年7月に外相ポストを解任されて以降、動静が途絶えており、さまざまな臆測が広がっていた。
同紙によると、出版社は外交や国際関係の書籍などを扱う「世界知識出版社」で、秦氏は今春、配属されたという。元高官はこの人事が降格であると明かしたうえで、「秦氏は刑務所には行かないが(外交官としての)キャリアは終わった」と語ったという。
中国外務省の毛寧副報道局長は9日の定例記者会見で、この報道について「そのような状況は承知していない」と述べた。世界知識出版社の職員も毎日新聞の取材に「知らない」と答えた。
秦氏は22年12月に駐米大使から外相に就任。23年3月には副首相級の国務委員を兼務するなど異例の出世を遂げたが、同年7月下旬に突然、外相を解任された。解任理由は明らかにされておらず、テレビキャスターとの不倫や機密漏えいなどさまざまな疑惑が報じられていた。
今年7月に開催された中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回総会(3中全会)」の公報(コミュニケ)では、秦氏の党中央委員の辞職が受理されたと発表された。だが、党員を示す「同志」の呼称が付けらてれおり、党籍剥奪など厳しい処分は免れたとの見方が浮上していた。【北京・岡崎英遠】
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