米司法省は3日、中国政府の意向を受けた「代理人」として活動した罪で米東部ニューヨーク州の元幹部、リンダ・サン被告(41)を起訴したと発表した。台湾の要人と知事の会合を妨げたほか、見返りに得た金で不動産を購入したりしていたという。
サン被告は民主党のクオモ前知事、ホークル知事の下で、ニューヨーク州の幹部を歴任した。一時、ホークル氏の「側近」も務めたという。11月の大統領選や議会選を控え、共和党が事件を民主党への攻撃材料にする可能性がある。
起訴状によると、サン被告は2012~23年にニューヨーク州の幹部を務めている間、中国側の利益になるよう自身の立場を利用。22年5月に州議会議員がホークル氏と台北経済文化弁事処(領事館に相当)の代表者との会合を持ちかけた際には、中国・台湾問題に「踏み込んでほしくない」などと主張し、会合の実現を妨害した。また、中国政府関係者と州幹部らの面会を容易にするため、ビザ発行に必要な書類を無許可で発行したりした。
事件に絡み、司法省は実業家の夫(40)も資金洗浄(マネーロンダリング)などの罪で起訴した。両被告は10の罪状に問われている。
また司法省は、両被告が中国側から支払われた報酬を資金洗浄するため、ニューヨーク州やハワイ州で不動産を取得したり、イタリアの高級自動車「フェラーリ」を購入したりしていたとも指摘した。
米メディアによると、両被告は3日に逮捕された。ニューヨーク州の連邦地裁で行われた起訴内容の認否では、いずれも無罪を主張した。
同州の報道官は「不正行為の証拠」が見つかった後の23年3月、サン被告を解雇したと述べた。サン被告の不正行為を当局に報告し、捜査に協力したとしている。【ニューヨーク中村聡也】
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