国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領が、ICC加盟国のモンゴルを訪問したことを巡り、米ニュースサイト「ポリティコ」は3日、モンゴル政府の報道官が「モンゴルはあらゆる外交関係において常に中立政策を維持している」と弁明したと報じた。プーチン氏はモンゴルで逮捕されることなく、4日未明に帰国した。
ポリティコによると、報道官は、モンゴルが石油製品の95%と電力の20%以上を近隣国から輸入していると言及。「この供給は我が国の存立や国民の生活を保障する上で極めて重要だ」とし、多くの資源を依存しているロシアに強く出られない難しい立場を示唆した。
プーチン氏は、3日に実施されたモンゴルのフレルスフ大統領との会談後、2023年にモンゴルに供給されたガソリンやディーゼル油の9割以上がロシア産だったことに触れ、「我々は、燃料の十分な供給を望むモンゴルの友人たちの要望にいつも応えてきた」と強調した。
両首脳は会談で、エネルギーや経済などを中心に多面的な協力を進めていくことで一致。フレルスフ氏は「我々の貿易、経済協力は強化され、経済成長を確実なものにしている」と話した。一方、プーチン氏も「貿易が成長軌道にのっていることをうれしく思う」と応じた。
モンゴルは、1939年に旧日本軍と旧ソ連軍が衝突したノモンハン事件の85周年記念式典に合わせてプーチン氏を招待した。ICCは23年3月、ウクライナでの「特別軍事作戦」を巡る戦争犯罪の容疑でプーチン氏に逮捕状を出しており、加盟国はプーチン氏を逮捕する義務がある。
ICC締約国会議のカウコランタ議長は3日、プーチン氏を逮捕するよう求める書簡をモンゴルに送っていたことを明らかにし、バトツェツェグ外相に送った2日付の書簡をX(ツイッター)で公開。加盟国が「(逮捕の)義務を果たすことなく、プーチン氏を自国の領土に入れることは許されない」と強調した。【モスクワ山衛守剛】
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