韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領が贈収賄事件に関与したとの疑惑が浮上している。韓国聯合ニュースなどによると、文氏は元国会議員を政府系機関の要職に起用する見返りに、この議員が設立した航空会社に娘ダヘ氏の元夫を採用してもらった疑いがあり、検察当局が慎重に捜査しているという。
検察当局が8月末に実施したダヘ氏宅などへの家宅捜索の令状は、文氏を収賄の「容疑者」と明記していた。文氏がかつて代表を務めた最大野党「共に民主党」は「政治的報復だ」と反発している。
大手紙「朝鮮日報」などによると、ダヘ氏の元夫は文政権下の2018年、李相稷(イサンジク)元国会議員=別件の横領罪などで実刑が確定=が設立した格安航空会社「イースター航空」の役員に起用された。元夫は航空会社での実務経験がなかった。当時は野党だった「国民の力」は20年、李氏がダヘ氏の元夫を採用する見返りに、政府系の「中小ベンチャー企業振興公団」理事長のポストを得たとして、文氏や李氏らを贈収賄容疑で検察に告発していた。
検察は、元夫への給与など2億2300万ウォン(約2400万円)が文氏への賄賂に当たるとみて捜査しているという。8月31日には、文政権で高官を務めた祖国革新党の曺国(チョグク)代表に聴取した。
政権交代が繰り返される韓国では、大統領が退任後に任期中の事件で摘発され、有罪となるケースが多い。【ソウル福岡静哉】
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