米国の首都ワシントンで保守系団体のイベントに参加する共和党のトランプ前大統領=2024年8月30日、秋山信一撮影

 11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は8月31日、自身のソーシャルメディアで、自身が居住する南部フロリダ州でマリフアナ(大麻)の合法化を容認する考えを示した。共和党には反対論が根強いが、大統領選を見据えて世論の傾向に沿った方針を打ち出した。

 トランプ氏は最近、人工妊娠中絶や体外受精を巡っても、保守派とは一線を画す言動が相次いでいる。民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)との対決に向けて、中道寄りにシフトすることで保守色を薄め、無党派層の有権者にアピールする狙いがある。

 フロリダ州では現在、大麻は医療用の使用に限って認められている。11月5日の大統領選と同時に行われる住民投票で、21歳以上が嗜好(しこう)用として購入、所持するのを合法化するかどうかを問う。

 トランプ氏は31日、「他の多くの州が既に認めている。賛否があるが、住民投票を通じて承認されるだろう。個人使用のための大麻所持を摘発するのに税金を無駄遣いする必要はない」と指摘。自身が賛成票を投じるかは明言しなかったが、合法化を事実上支持した。一方で、保守派に配慮し「合法化は適正になされるべきだ。街のあちこちで大麻のにおいがするような事態にしないように、公共の場での使用を禁止する州法を制定する必要がある」とも述べた。

 米国ではリスクに応じて規制薬物を5段階に分類しており、大麻は乱用の恐れが高く、医療用の使用も認めない「スケジュール1」(ヘロインや幻覚剤など)に分類されてきた。

 トランプ前政権は規制緩和には消極的だったが、民主党のバイデン政権は医療用の使用を認める「スケジュール3」に2段階引き下げる方針を表明。州レベルでは規制緩和が進み、約半数の州で医療用・嗜好用とも合法化されている。【ワシントン秋山信一】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。