台湾民衆党の柯文哲主席=2024年1月、ロイター

 台湾の検察当局は31日、立法院(国会)の第三勢力「台湾民衆党」の柯文哲(か・ぶんてつ)主席(党首)を汚職容疑で逮捕したと発表した。台北市内の商業施設整備に絡む汚職事件に関して、当時市長を務めた柯氏から30日に事情を聴取。夜間の聴取を拒否して去ろうとしたため、逮捕したとしている。

 台北地検と汚職を取り締まる法務部(法務省)廉政署は30日朝に柯氏の自宅や事務所、民衆党本部などを家宅捜索。廉政署が午後から柯氏を任意で取り調べた後、31日未明に地検に移送していた。

 地検は容疑内容が重大で、聴取を中断すれば事件の解明が難しくなるリスクがあったと説明。柯氏側は捜査手続きの違法性を問う審理を求めたが、裁判所は却下した。

 事件では商業施設整備に関して開発業者の求めに応じ、市側が容積率を規定より大幅に増やすなどの便宜を図ったとされ、柯氏がこれに関与した疑いがある。柯氏は「自分には問題がない」と潔白を主張している。

 柯氏が2019年に結成した民衆党は2大政党による既成政治の腐敗などを批判して若者らの支持を集めた。ただ1月の総統選の政治献金報告書に多数の記載の誤りがあることなどが発覚。柯氏は8月29日に責任を取る形で党首職をしばらく離れることを表明していた。

 逮捕を受けて、台北地検前には党幹部や支持者らが集結。「公平な司法を求める」などと声を上げた。【台北・林哲平】

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