ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、空軍のオレシチュク司令官を解任したと発表した。理由は明らかにしていないが、支援国から供与されたF16戦闘機が26日に墜落した事故と関連している可能性がある。軍は墜落原因を調査中で、操縦ミスや自軍の対空ミサイルによる可能性が浮上している。
ゼレンスキー氏は今回の解任に関して、通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画で「兵員を守るため、司令レベルを強化する必要があった」と述べた。
軍は26日のF16墜落事故について、米軍の支援を受けて原因を調査している。死亡したパイロットは、ロシア軍によるウクライナのインフラ施設を狙った大規模なミサイル、ドローン攻撃を迎撃するため、攻撃目標に向かう途中だった。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ウクライナ政府関係者は墜落について「露軍による撃墜ではないとみられ、パイロットのミスや機器の故障、自軍による撃墜の可能性を調査している」と述べている。ロイター通信の報道では、米軍関係者も露軍による撃墜を否定し、「パイロットのミスや機器の故障の可能性を調査している」と語った。
一方、ウクライナでは墜落原因を巡り、最高会議(議会)議員の発言が波紋を広げている。
オレシチュク氏の解任が発表される数時間前、最高会議の防衛・情報委員会に所属するベズーラ議員はフェイスブックに「F16は部隊間の連絡不足で自軍の防空システム、パトリオットに誤って撃墜された」と投稿。「空軍司令部には(国民などを)だます文化があり、意思決定システムを悪化させている」と主張した。これに対して、オレシチュク氏はテレグラムへの投稿で「ロシアのプロパガンダだ。隠し事は何もない」と反論した。
ロシアの侵攻を受けるウクライナでは、軍や政府の高官の解任・更迭が相次いでいる。ゼレンスキー氏は今年2月、軍総司令官だったザルジニー氏を解任。3月には側近のダニロフ国家安全保障国防会議書記も解任した。【ブリュッセル宮川裕章】
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