選挙集会でスピーチする米民主党のハリス副大統領=南部ジョージア州で2024年8月29日、ロイター

 11月の米大統領選に向け、民主党候補のハリス副大統領(59)は29日、米CNNテレビのインタビューに応じ、当選した場合には閣僚に共和党員も起用する考えを明らかにした。「最も重要な決定が下される時に、異なる意見や経験を持つ人々がいるのは重要だと思う」と説明。米社会では党派による根深い分断が指摘されており、「結束」を目指す姿勢を強調する狙いがあるとみられる。

 ハリス氏が報道機関のインタビューに応じるのは7月21日の立候補表明以降では初めて。収録は、選挙戦の結果を左右する接戦7州の一つの南部ジョージア州で実施され、党の副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事(60)も同席した。

 ハリス氏は共和党員の閣僚起用に関し、「私はキャリアを通じて多様な意見を受け入れてきた。閣僚に共和党員がいることは米国民にとって有益だと思う」とも述べた。

 一方、インタビューではハリス氏の政策の「変遷」についても質問が及んだ。ハリス氏はかつて気候変動に絡み、環境への負荷が大きいフラッキング(水圧破砕法)による天然ガス・石油開発の禁止を主張していた。現在はこの立場を撤回しており、インタビューでは「大統領になってもフラッキングは禁止しない」と述べた。

 ハリス氏はこれに関し、「私の政策に関する見解とその決断で重要な点は、価値観が変わっていないということだ」と主張。「気候危機は現実であり、喫緊の問題だ。期限を守ることを含めて、指標を適用すべきだと信じて取り組んできた」と語った。

 対抗馬である共和党のトランプ前大統領(78)から批判されている不法越境者への対応についても言及した。不法越境者への対応を厳格化させたことに関して、価値観は変わっていないと説明。西部カリフォルニア州の司法長官時代の経験を引き合いに、国境を越えた人身売買で告発された犯罪組織を訴追するなどした実績を強調した。【ワシントン松井聡】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。