米中西部ミシガン州の選挙集会で演説する共和党のトランプ前大統領=2024年8月29日、AP

 11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)は29日、中西部ミシガン州で演説し、不妊治療の一つである体外受精の費用を公的補助や保険で賄う方針を明らかにした。

 女性が人工妊娠中絶を選ぶ権利の擁護を訴える民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)に対抗するため、生殖医療の支援に前向きな姿勢を打ち出し、若年層の支持につなげたい思惑がある。

 トランプ氏は演説で「体外受精に関連した全費用は、政府が支払うか、保険会社に支払いを義務づけるかにする。体外受精の費用は非常に高額で、多くの人にとって(実施が)難しいからだ」と表明。さらに「出産に関する主な費用の税金からの控除も認める。我々は家族を支援する」と強調した。

 体外治療を巡っては、南部アラバマ州の最高裁が今年2月、体外受精でできた受精卵を凍結保存した「凍結胚」を「子ども」とみなすと判断した。凍結胚の管理や廃棄が難しくなったため、州内では不妊治療を一時停止する動きが広がった。その後、州議会主導で体外受精に関わることで罪には問われないとする州法が制定された。

 ただ、アラバマ州最高裁の判事は公選制で、いずれも共和党から当選した経緯があり、民主党は「共和党は不妊治療の権利も奪おうとしている」と批判。トランプ氏は「体外受精を支持する」などと対応に追われてきた経緯がある。【ワシントン秋山信一】

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