観光客が増えすぎて地元住民の生活に悪影響を与える「オーバーツーリズム」が各国で問題となるなか、韓国では観光客の制限に乗り出します。違反した場合は、最大で100万円を超える過料を科すこともできるというものですが、果たして効果は。
記者
「ここは韓国の伝統的な家屋が立ち並ぶ地域なんですが、多くの観光客が見物に訪れています」
韓国を代表する観光名所の1つで、ソウル中心部の明洞から車で15分ほどで行ける「北村韓屋村」。連日の厳しい暑さにもかかわらず、きょうも多くの観光客の姿がみられました。
日本人観光客
「雰囲気があって、趣があって」
「引きこまれるような風景でした」
しかし、この地域には一般の住民が暮らしていて、増えすぎた観光客による負の影響、「オーバーツーリズム」の問題がたびたび取り上げられてきました。去年、取材した際、地元の住民は…
地元住民(去年11月)
「(昔は)学生が多くて住みやすかったけど、今は観光客がこんなにたくさん来てうるさいから嫌だ」
騒音だけではなく、ゴミのポイ捨て、違法駐車などの問題もあり、新型コロナが流行する前には住民たちのデモも発生。
韓国メディアによると、およそ10年の間に3割の住民が地域を離れてしまっています。
そこで行政は、マナーを守るよう日本語などで呼びかける看板を設置。スタッフも配置して観光客に静かに過ごすよう注意してきましたが、法的拘束力はなく、さらなる対策が議論されました。その結果…
「多くの観光客の流入による住民の苦情が相次ぎ、ソウル市鍾路区が『北村韓屋村』を全国初の『特別管理地域』に指定したと発表しました」
この「特別管理地域」は、国の法律「観光振興法」に基づき自治体のトップが指定し、観光に対する制限を設けることができます。
今回の場合は、観光客が訪問できる時間を午前10時から午後5時に制限する「レッドゾーン」を設定。違反した人に対しては最大で1000万ウォン、日本円で110万円近くの過料を科すことができる罰則付きです。
地元の鍾路区は条例改正などの手続きを経て、10月から周知期間に入り、来年3月から施行する予定です。住民の受け止めは…
地元住民
「昼間に起きることに対する責任をとり、適切な補償をしてくれないと。税金をなくしてくれれば、住民たちは甘んじて受け入れるでしょう」
効果には、あまり期待していない様子でしたが、「オーバーツーリズム」に対し、法的措置で解決を試みる方法がどれくらい有効なのか注目されます。
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