イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが互いに大規模な攻撃を行ったことを巡って、オースティン米国防長官は25日、イスラエルのガラント国防相と電話で協議した。米メディアによると、米側は今回のイスラエルの予防的な先制攻撃を事前に容認。両国はヒズボラの軍事動向に関する情報も共有していた。
米国防総省によると、オースティン氏は25日の協議で、中東に展開する二つの空母打撃群を今後も維持し、ヒズボラなど親イラン勢力の攻撃に備える考えを伝えた。
米メディア「アクシオス」によると、米国とイスラエルは24日朝、「ヒズボラが25日午前5時に大規模攻撃に踏み切る」との情報を把握。攻撃開始の直前に100機以上の戦闘機がレバノン南部で予防的な先制攻撃に着手した。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ブリンケン国務長官は今月19日にイスラエルでネタニヤフ首相らと会談した際、イスラエルの予防的な先制攻撃は「正当だ」との考えを伝えていた。一方で、イスラエルの「予防的攻撃」が紛争の激化につながることも懸念。「切迫した脅威」以外は標的にしないよう警告していた。米当局者は「25日の攻撃は適度に抑制されていた」と評価しているという。
ただ、ヒズボラが25日の攻撃を「第1段階」と位置づけるなど、情勢は流動的だ。イランでパレスチナ自治区のイスラム組織ハマス最高指導者のハニヤ氏が暗殺された事件を巡って、イランはイスラエルが関与したとみて報復を宣言しており、親イランのヒズボラが報復に協力する可能性もある。
在レバノンの米国大使館は7月末から米国民にレバノンへの渡航禁止を勧告。レバノン滞在者には「緊急事態に備えて、避難所を準備して携帯電話の充電も維持し、政府に頼らずに国外に移動する計画を立ててほしい」と呼びかけている。【ワシントン秋山信一】
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