11月の米大統領選に向けた民主党全国大会が19~22日、中西部シカゴで開催された。高齢批判で再選出馬を断念したバイデン大統領(81)に代わって、「若さ」をアピールするハリス副大統領(59)が大統領候補となり、大会は高揚感に包まれた。過去40年以上にわたって大統領選を分析してきた米アメリカン大の歴史学者、アラン・リクトマン教授に、大会の成果や今後の展望を聞いた。【聞き手・西田進一郎】
バイデン氏に代わって民主党の大統領候補に指名されたハリス氏は、党に新たな活力と熱意、興奮をもたらしている。民主党は、候補者が「高齢過ぎる」「魅力に欠ける」という懸念を抱く必要がなくなった。党大会の熱狂ぶりを見れば、ハリス氏の存在に注目が集まっていることは明らかだ。
今回の党大会では最高の演説がいくつかあった。オバマ元大統領夫妻はそれぞれ素晴らしく、人気司会者のオプラ・ウィンフリーさんは聴衆を活気づけた。副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事は、飾り気のない魅力を披露した。ウォルズ氏は地に足の着いた人物で、地方や労働者階級の有権者、大学を卒業していない有権者らにアピールするだろう。
党大会は党を活性化させるとともに、今回の選挙で党が強調したい根本的なテーマを確立した。それは「喜び、団結、前向き」という政治であり、「ネガティブ、分裂、後退を促す」という政治とは対照的なものだ。今後の選挙戦でこれが有益なテーマ、対比になることを明確にした。
ただし、党大会の勢いが続くことはあまりない。党大会では多くの熱狂が巻き起こるが、その後には新しいことが起き、熱や関心はそちらに移っていくからだ。
それでも、現職のバイデン氏を民主党の身内が公然と攻撃する非常に困難で良くない状況を経て、民主党を活性化させるという意味で党大会は重要だった。ある意味で「リセット」であり、それは成功したように見える。
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