米大統領選の民主党候補カマラ・ハリス副大統領は16日、南部ノースカロライナ州で開かれた選挙集会の演説で、自らの経済政策を初めて発表した。子育て世帯への減税や食品価格引き下げなど、物価高(インフレ)に苦しむ中間層への生活支援を訴え、共和党のドナルド・トランプ前大統領との違いを強調した。
子どもが生まれた最初の1年間に6000ドル(約90万円)の減税を実施。初めて住宅を購入する世帯には2万5000ドル(約375万円)の「頭金」を補助する。また、食品価格を不当につり上げている「悪徳業者」があるとして、罰則付きの取り締まりを検討すると明らかにした。
法人税減税の拡大を掲げるトランプ氏について「億万長者や大企業のために戦っている」と批判。あらゆる国からの輸入品に一律10%の関税を課すというトランプ氏の貿易政策についても、「生活必需品に対する事実上の課税だ。消費者の負担が大きくなる」と問題視した。
ハリス氏が数値目標などを盛り込んだ具体的な経済政策を示すのは、バイデン大統領から後継指名を受けてから初めて。演説では「中間層が強くなれば米国は強くなる。大統領に就任すれば生活コストの引き下げを最優先課題にする」と明言し、前日に発表した薬価引き下げなどを含め一般家庭の負担軽減策を推進していく考えを強調した。
ただ、演説では有権者の支持を得るための「生活支援策」を並べる一方、貿易政策やエネルギー政策など米経済運営の大方針には触れなかった。
減税の財源をどう賄うのかの説明はなく、食品の値上げを取り締まる具体的な手法についても言及しなかった。商品価格の設定は自由競争の中で各企業に委ねるのが原則で、どのように実行するのか不透明な部分もある。【ワシントン大久保渉】
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