光復節の記念式典で演説する韓国の尹錫悦大統領=ソウルで2024年8月15日、代表撮影・ロイター

 韓国で15日、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典が政府主催で開かれ、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が演説した。尹氏は南北統一に向けた「ビジョン」を表明し、演説の大半をその説明に充てた。

 光復節の大統領演説では、歴史問題などを巡る対日批判を盛り込む例が多かった。だが対日関係を重視する尹氏の演説では昨年に続き、日本批判は皆無。韓国の1人当たり国民総所得(GNI)が2023年に初めて日本を上回ったことなど、経済関連の指標に触れただけだった。光復節の演説で日本に関する考え方に言及しないのは異例。

 尹氏は、朝鮮半島に「自由で民主的な統一国家が作られる日に初めて完全な光復が実現する」と強調した。統一ビジョンの具体策として、北朝鮮住民の間に変化を促すことが重要だと指摘し、外部情報へのアクセス拡大などを推進すると述べた。また、南北当局が緊張緩和などを実務レベルで話し合う「対話協議体」の設置を提案した。

 統一実現には国際社会の協力が不可欠だとして「同盟国・友好国との自由の連帯を強固にしながら、統一への共感を形成するために努力する」と述べた。

 一方、進歩系の最大野党「共に民主党」や「祖国革新党」など、保守系の尹政権の対日政策に批判的な野党各党は式典を欠席し、別の場所で集会を開催。対日姿勢を巡る韓国国内の分断があらわとなった。共に民主党の朴賛大(パクチャンデ)代表代行は15日、尹政権を「親日売国政権」だと批判した。【ソウル福岡静哉】

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