ホワイトハウスで記者会見するカービー米大統領補佐官=2024年7月31日、AP

 カービー米大統領補佐官は12日、イランによるイスラエルへの報復攻撃が今週中にも行われる可能性があるとの見方を示した。オンラインで記者団に語った。一方、バイデン大統領は欧州4カ国の首脳と電話で協議し、中東地域の緊張緩和とイランに自制を求める共同声明を発表した。

 イスラム組織ハマスの最高指導者だったハニヤ氏の暗殺について、現場となったイランはイスラエルによるものと断定し、報復を宣言している。米ニュースサイト・アクシオスは11日、イスラエルの情報機関の分析として「イランが数日内にイスラエルを直接攻撃する構えだ」などと報じていた。

 カービー氏は、イランや親イラン武装組織が今週中にも報復攻撃を実施するというイスラエルの評価は、米国の分析と一致していると説明。「大規模な攻撃の可能性に備えなければならない」と指摘した。

 米国防総省は11日、オースティン国防長官がイスラエル防衛強化のため、巡航ミサイルを搭載できる原子力潜水艦「ジョージア」を周辺地域に派遣し、既に配備命令が出ている原子力空母「エーブラハム・リンカーン」を中核とする空母打撃群についても移動を急ぐよう指示したと発表した。米紙ワシントン・ポストによると、この他にも米軍の駆逐艦が地中海東部に移動しているという。

 一方、バイデン氏は12日、英国やフランス、ドイツ、イタリアの首脳と電話で協議した。終了後に発表された共同声明によると、首脳らはイスラエルの防衛を支持。イランに対し、イスラエルへの脅しをやめるよう求め、攻撃が実際に行われた場合に地域の安全保障に及ぼす深刻な影響について議論したという。

 また、首脳らはパレスチナ自治区ガザ地区を巡っては、停戦と人質解放のための交渉に向けた取り組みを全面的に支持すると表明した。交渉を仲介するエジプト、カタール、米国はイスラエルとハマス双方に対し、協議を15日に再開するよう呼びかけている。共同声明では「これ以上、無駄にする時間はない」とし、早期の協議再開を求めた。【ワシントン西田進一郎】

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