米民主党全国委員会は2日、オンライン投票で、ハリス副大統領(59)が過半数を獲得したと発表した。同投票により、ハリス氏の大統領候補指名が確実となり、11月の大統領選を巡る対立構図は、ハリス氏とトランプ氏の戦いとなることが固まった。ハリス氏はバイデン大統領からの後継指名を受け、全米各地で演説を行っている。7月30日には、ジョージア州アトランタで選挙集会を開催、同月31日には、テキサス州ヒューストンで、女性支援団体の会合に出席し、支援を訴えた。

米国とロシアなどは1日、収監されていた双方の合計26人の身柄を交換した。ロシアで収監されていた米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの米国人記者エバン・ゲルシコビッチ氏(32)らは1日、ワシントン郊外のメリーランド州アンドルーズ空軍基地に到着した。バイデン大統領とハリス副大統領が帰還者を出迎えた。拘束者の交換に至った背景には、11月の米大統領選前に、対ロ交渉と多国間連携の奏功による外交的成果を強調し、バイデン政権の高評価を呼び込み、後継候補のハリス氏に追い風となるとの思惑が働いたとの見方がある。ハリス氏は、2月に開催されたミュンヘン安全保障会議で、身柄交換に関する協議をショルツ独首相と行っていた。米政府高官は、「ミュンヘン安全保障会議でのハリス氏とショルツ氏の会談が、問題解決に向かわせた」と内情を明らかにした。身柄交換を受けて、トランプ前大統領は1日、「私は多くの人質を取り戻したが、相手国には何も渡さなかった」とバイデン政権を批判したうえで、「悪しき前例が作られた」と批判した。

ハリス氏は、選挙資金として7月に3億1000万ドル(約460億円)を調達し、選挙資金全体で3億7700万ドル(約550億円)となった。一方、トランプ前大統領は7月に、1億3870万ドル(約208億円)を調達し、全体では、3億2700万ドル(約490億円)となり、ハリス氏は資金面でトランプ氏に対して優位に立った。ビジネス用SNS「LinkedIn」の創設者である著名実業家のリード・ホフマン氏、サンフランシスコの著名投資家のロン・コンウェイ氏が、ハリス氏を大口寄付で支えている。一方、テック業界の実業家であるマーク・アンドリーセン氏、金融サービス「キャンター・フィッツジェラルド」のCEOであるハワード・ラトニック氏が、トランプ陣営に大口献金を行っている。

米労働省が2日発表した7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比で11万4000人増となり、市場予想の17万5000人を大幅に下回った。失業率は前月比で0.2ポイント上昇して4.3%となるなど、米国経済の景気減速への警戒感が高まっている。インフレ率は鈍化しているが、米国民が今、最も期待するのは物価の抑制とされており、大統領選で、経済が最大の争点となっている。

★ゲスト:杉山晋輔(元駐米大使)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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