パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」の最高指導者であるハニヤ氏が、イランの首都テヘランで7月31日に殺害された。ハニヤ氏は、ペゼシュキアン新大統領の宣誓式に出席するために、イランを訪問していた。イスラエルは現段階で、コメントをしていない。イランの最高指導者ハメネイ師は、ハニヤ氏殺害はイスラエルの仕業だとして、直接攻撃を命じた。ハニヤ氏は62歳で、パレスチナ自治区ガザ地区の難民キャンプで生まれた。ハニヤ氏は2006年にパレスチナ自治政府の首相に任命され、2017年にハマスのトップに就任した。カタールのドーハに在住していた。ハニヤ氏は、イスラエルとハマスの間で、戦闘休止交渉の鍵を握る人物とされ、ガザ地区の武装グループ指導者らとの窓口の役割を担っていた。また、イスラエル軍は、ハマスの軍事部門「カッサム旅団」トップのムハンマド・デイフ司令官の殺害を発表した。
殺害されたハニヤ氏に同行してイランを訪問中だったハマス幹部のハヤ氏は7月31日、暗殺事件について、「ハニヤ氏がいた部屋にロケット弾が入り込み、直撃した。明らかにロケット弾で、ガラスや窓、ドア、壁が破壊されたからだ」と当時の状況を語った。一方で、米紙ニューヨーク・タイムズは1日、イラン、米国の関係者の話として、ハニヤ氏が滞在した宿泊施設に、爆破装置が仕掛けられていたと報じた。爆破装置は約2カ月前に持ち込まれ、ハニヤ氏の滞在中を狙って、遠隔操作で爆破されたという。宿泊施設は、イランの精鋭組織「革命防衛隊」が管理・警備しているとされる。米ネットメディア「アクシオス」は、人工知能(AI)を駆使した高性能の爆破装置が事前に寝室に仕掛けられ、イラン国内に潜伏するイスラエルの情報機関「モサド」の工作員が起爆したと伝えた。
ハニヤ氏の殺害を受け、イランの報復に向けた動きに、中東で警戒感が加速する。オースティン米国防長官は2日、イスラエル防衛を目的に、空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群や戦闘飛行隊、巡洋艦、駆逐艦、また、追加の戦闘機部隊を中東に配備することを命じた。ブリンケン米国務長官は31日、ハニヤ氏殺害について、「知らなかった。関与はない」と述べ、米国の関与を否定した。
★ゲスト:杉山晋輔(元駐米大使)、田中浩一郎(慶應義塾大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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