法廷画家によって描かれた公判前手続きに臨むハリド・シェイク・モハメド被告(中央)=キューバのグアンタナモ米軍基地で2008年12月8日、AP

 米紙ニューヨーク・タイムズは7月31日、2001年9月の米同時多発テロの主犯格とみられる国際テロ組織アルカイダの元最高幹部と共謀者2人の計3人が司法取引に応じ、死刑を免れる代わりに罪を認めることで合意したと報じた。早ければ来週の公開法廷で正式に罪を認める。

 約3000人の命が奪われた同時多発テロを巡っては、12年前からキューバのグアンタナモ米軍基地でこれら3人を含む5人を裁く特別軍事法廷の公判前手続きが進められてきた。近く発生から23年となる歴史的事件は大きな節目を迎えた。

 報道によると、司法取引に応じたのは同時多発テロを企画・立案し、主犯格とみられているハリド・シェイク・モハメド被告と共謀者2人。検察側が遺族に宛てた書簡で明らかになった。死刑を免れて終身刑を受ける代わりに、殺人など全ての罪を認める。

 モハメド被告は1996年、アルカイダの指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者(11年に死亡)に同時多発テロの計画を持ちかけたとされる。テロの後、03年にパキスタンで拘束され、06年にグアンタナモ基地へ移送されるまでは米中央情報局(CIA)の秘密施設に収容された。CIAはそこで、自白を得るため水責めを183回行うなどの拷問を加えた。

 今回の司法取引は、22年3月から議論されていた。残る2人の被告は応じていない。

 特別軍事法廷での審理は長期化し、公判前手続きはこれまでに51回行われてきた。検察側は書簡で、司法取引は「軽々しく成立したものではない」と強調。その一方で「(司法取引が)正義への最良の道というのが我々の判断だ」と述べ、遺族に理解を求めた。【ニューヨーク中村聡也】

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