イラン革命防衛隊は31日、パレスチナ自治区ガザ地区を拠点とするイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏と護衛1人が、イランの首都テヘランで暗殺されたと発表した。ハマスも声明で事実関係を認めた。ハマスと戦闘を続けるイスラエルが関与したとみられ、ハマスやイランが報復に乗り出す恐れが強まっている。
米ニュースサイト「アクシオス」や中東メディアなどによると、ハニヤ氏は31日午前2時(日本時間同7時半)ごろ、テヘランの滞在先で空爆された。イラン国外から発射した誘導ミサイルによる攻撃だったとの情報もある。革命防衛隊は詳細について「調査する」としている。ハニヤ氏は、30日に実施されたイランのペゼシュキアン大統領の就任式に出席するため、テヘランを訪れていた。
イスラエルは公式には関与を認めていないが、極右政治家のエリヤフ氏はX(ツイッター)で「世界からごみを一掃するのは良いことだ」などと投稿した。ハマス幹部は暗殺について「イスラエルによるエスカレーションだ」と述べ、報復する意思を示した。
ハニヤ氏は2017年にハマス政治部門のトップに就き、カタールの首都ドーハを拠点に活動していた。イスラエルとの停戦交渉も主導していたが、殺害を受けて交渉の先行きは見通せなくなった。
ガザ地区では昨年10月以降、ハマスとイスラエル軍による戦闘が続いており、これまでにイスラエル側で約1200人、ガザ地区で3万9000人以上が死亡した。
イスラエルは国外にいるハマス幹部も標的にすると宣言しており、今年1月にはレバノンでハマス政治部門の副指導者アロウリ氏を無人機攻撃で殺害している。また、過去にはイラン国内での暗殺にも関与しており、20年12月にはテヘラン郊外を車で移動中だったイラン人の核科学者を銃撃し、殺害した。
ガザ地区の戦闘を受け、ハマスや周辺国の武装組織を支援するイランとの対立も強まっており、イスラエルは今年4月、在シリアのイラン大使館を空爆。これを受け、イランはイスラエルに対してミサイルなど300発以上を発射した。【パリ金子淳】
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