11月5日のアメリカ大統領選まで100日を切った。
民主党の候補指名を確実にしたハリス副大統領(59歳)が勢いを見せていて、ともに選挙戦を戦うランニングメイト=副大統領候補に誰を選ぶのかが焦点になっている。
29日、東部ペンシルベニア州で開かれたハリス陣営の選挙集会。
ハリス氏本人は出席せず、陣営発表でも参加者は1000人あまりと、大規模とは言えない集会だったが、アメリカ国内外の多くのメディアが取材に訪れた。
ハリス氏の副大統領候補への起用が取りざたされている2人の知事が演説したためだ。
1人目は、ペンシルベニア州のシャピロ知事(51歳)。
ペンシルベニア州は今回の大統領選の行方を左右する激戦州の1つだが、シャピロ知事は2年前の知事選挙で共和党の候補に圧勝した民主党の次世代のリーダー候補の1人だ。
演説では「ハリス氏は民主党の旗手としてだけでなく、次期大統領になる準備ができている」とハリス氏支援を訴えた。
ラストベルト=錆びついた工業地帯の一角に位置するペンシルベニア州で勝利するには白人労働者の支持が重要だが、シャピロ氏を起用すれば支持獲得が見込まれる。
ペンシルベニア州と同じく「ラストベルト」に位置する激戦州、ウィスコンシン州・ミシガン州の白人労働者へのアピールも期待できるともみられていて、副大統領候補への起用が有力視されている。
もう1人登壇したのは、さきほども名前を挙げたラストベルトの激戦州・ミシガン州のウイットマー知事(52歳)。
2020年、当時のトランプ大統領の一般教書演説の際には民主党を代表して反対演説を行うなど、全米に名を知られる有力知事だ。
バイデン氏の撤退論が浮上した際には、カリフォルニア州のニューサム知事(56歳)と並び、バイデン氏の有力な後継候補として名前が取りざたされた。
演説では「ハリス氏はペテン師や性犯罪者を刑務所に入れてきた。ドナルド・トランプが彼女を恐れている理由だろう」とトランプ氏を舌鋒鋭く攻撃した。
ただ、ウィットマー氏本人は州知事を続ける意向を示していて、アメリカメディアでは2028年の大統領選で出馬の機会を伺うのではないか、との見方が強い。
上述の2人を含め、アメリカメディアでは副大統領候補として10人以上の名前が浮上している。
そのなかでも、シャピロ氏と、同じく激戦州のアリゾナ州の上院議員のケリー上院議員(60歳)が有力と伝えられる。
ケリー氏は海軍出身で、元宇宙飛行士だ。国民的な知名度が高い。
一方、29日には、一時、ワシントンポストなどで有力候補と目されていたノースカロライナ州のクーパー知事(67歳)が辞退する方針だと伝えられた。
このほか、バイデン政権の現職閣僚のブティジェッジ運輸長官(42歳)、レモンド商務長官(53歳)らの名前も挙がっている。
ただ、ハリス氏が黒人や女性、若者からの支持で勢いを見せる中、アメリカメディアの中ではハリス氏の支持層を補完するため、激戦州に地盤を持つ白人男性から副大統領候補を起用するという観測が強まっている。
ハリス氏は自らが大統領候補として正式に指名を受ける予定の8月7日までに副大統領候補を決める見通しだ。
選挙戦の行方を左右する大きな選択となる。
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