ラオスで開かれているASEAN=東南アジア諸国連合の関連外相会議では、大国間の思惑も交錯しています。欧米への対抗軸として中国とロシアが影響力の確保に動く一方、アメリカはこれまでのところ、存在感を発揮できていないようです。

記者
「日本の上川外務大臣がASEAN各国外相との会議に臨みます」

ラオスで2日目を迎えたASEAN関連外相会議。日本やアメリカなど合わせて26か国が参加しますが、初日から精力的に動いていたのが…

記者
「中国の王毅外相が会場に到着しました」

中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相です。

ロシア ラブロフ外相
「ロシアと中国のつながりは、より公平な多極世界秩序を形成し、真の多国間主義の原則を促進する。私たちは東南アジアの問題における地域外勢力の干渉に共同で対抗する」

ASEAN各国とそれぞれ個別会談を重ねた中国とロシアが目論むのは、アメリカなどに対抗する勢力の拡大です。

ウクライナ侵攻をめぐって、ほとんどの国が中立を維持するASEANは大国間の激しい駆け引きの舞台に。これまで地域で結束して大国の影響力を抑えてきたASEANのバランスは、ここにきて揺らぎつつあります。

その象徴的な出来事のひとつが、中国やロシアがけん引する新興国の枠組み「BRICS」に、今年、タイとマレーシアが加盟する意向を表明したことです。

この2か国が求めるのは、あくまで経済的な協力であり、政治的・軍事的にアメリカと対立する中国・ロシアの思惑とは必ずしも一致しませんが、中・ロの影響力が今後さらに強まる懸念も広がっています。

一方のアメリカはというと…

記者
「きょう到着するはずだったブリンケン国務長官は、イスラエルとの会合などが理由で到着が遅れているとの情報があります」

イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘をきっかけに、一部のASEAN加盟国では、アメリカへの反発も強まっています。イスラム教徒の多いマレーシアなどでは、アメリカ企業の不買運動が広がる事態にもなりました。

さらには、アジアへの関与を重視してきたバイデン氏が、大統領選挙からの撤退を表明したことで、ASEAN外交筋からはこんな本音も。

ASEAN外交筋
「米国はトランプ政権の誕生によってアジアへの関心を失い、我々は不信感を強めた過去がある。大統領選の結果次第では、また同じようなことが起きるのではないか」

地域のパワーバランスが大きく変わる可能性も指摘されるなか、あすの会議では、アメリカや中国・ロシアなどが一堂に会する予定で、激しい応酬が予想されています。

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