内部告発サイト「ウィキリークス」創設者で、米国で機密暴露などの罪に問われたジュリアン・アサンジ被告(52)=英国で収監中=について、米側は「米国に移送されても被告に死刑を求刑しない」などと保証する文書を英国の裁判所に提出した。ロイター通信などが伝えた。英国では死刑制度が廃止されている。
米国はアサンジ被告の身柄引き渡しを英側に要求している。英高等法院は3月、被告が死刑判決を受けないとの確約をするよう米政府に求めていた。保証文書は今月16日までに英側に提出されたという。
アサンジ被告を巡っては、出身国であるオーストラリアの議会が2月、釈放や豪州帰国を求める動議を可決した。こうした声を受け、バイデン米大統領は今月10日、起訴取り下げを「検討している」と述べた。
アサンジ被告は2010~11年、イラク戦争などに関する米国の機密文書をウィキリークスで公開した。米当局は機密暴露やスパイ防止法違反など計18の罪状で起訴。19年に英当局が逮捕し、その後、米国への移送が決まった。だが、被告が決定に不服を申し立て、移送は止まっている。
現時点では、アサンジ被告は死刑判決を受け得る罪状では起訴されていない。しかし、被告の弁護士は「米国で将来、国家反逆罪など死刑があり得る罪で新たに起訴される可能性もある」と主張し、米政府に死刑回避の保証を求めていた。今回の保証文書の扱いに関しては、5月20日に英高等法院で審議される。
バイデン氏が起訴撤回に前向きと報じられる一方で、トランプ前米大統領はアサンジ被告の機密暴露について「恥ずべき行為。死刑もあり得る」と過去に発言している。このため、仮にトランプ氏が11月の大統領選でバイデン氏を破って当選した場合、被告の立場が危うくなるとの見方もある。【ロンドン篠田航一】
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