米紙ワシントン・ポストは20日、大統領警護隊(シークレットサービス)が過去2年間、共和党のトランプ前大統領の警護担当者による警備強化の要請を再三にわたって拒否していたと報じた。大統領警護隊は13日の銃撃事件直後、過去に警備強化を拒んでいたことを否定していたが、同紙の報道を受けて、他の米メディアにも要請を拒否していた事実を認めた。
共和党は警護隊の態勢に問題があったと非難し、連邦議会で幹部らを追及する方針だ。トランプ氏の支持者の間では「民主党が事件の背後にいる」という根拠のない陰謀論が広がっており、警護隊が警備強化に消極的だったことは、こうした臆測に拍車をかける可能性もある。
大統領経験者であるトランプ氏は、国土安全保障省に所属する大統領警護隊の警護対象になっている。報道によると、警護担当者は選挙集会などの警備態勢が不十分だとして、狙撃手の警戒監視役、襲撃者への反撃要員、トランプ氏が参加するイベント出席者の荷物検査担当などの増員を再三求めていた。しかし、警護隊幹部らは、人員や予算の不足を理由に要請を拒否。自治体の警察などの支援で要員不足を補ってきたという。
トランプ氏は、銃撃直後に身をていして自身を守った警護担当者らに謝意を示している。一方、陣営は2023年9月に中西部ミシガン州で開いた集会で、参加者が警備の規制を強行突破して会場に入ろうとしたことなどから警備態勢に不満を抱いていたという。
米メディアによると、大統領警護隊は現職や元職の大統領、副大統領、その家族など20人以上の警護に当たっている。トランプ氏は多くの大統領経験者と異なり、退任後も活発に政治活動を続け、大規模な集会にもたびたび参加してきた。そのため、他の警護対象者以上に要員が必要になる場面が多かったとみられる。【ワシントン秋山信一】
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