Windowsを搭載したパソコンに、エラーを示す青い画面が表示される事態が多発し、空港や銀行、さらにはメディアなど世界中の様々なインフラに影響が出ています。世界同時多発的に起きたシステム障害。いったい何が原因だったのでしょうか。
■“手書き”の航空券を発行も
日本では19日午後2時を過ぎたあたりから、一斉に影響が出始めました。青い画面が表示されたパソコンは、再起動しても強制終了しても、一切使えなくなります。Windowsの高い普及率が、混乱を拡大させるにいたりました。
まず、空の便。ジェットスターはシステム障害によってチェックインができなくなり、全国で26便が欠航しました。
利用客
「全部手書きでやっていて、すごく大変そうでした。(Q.旅行の矢先に)飛ぶだけいいかなと。思い出になるので」
日本航空では運航に影響は出なかったものの、一時ウェブサイトやアプリで国際線の購入や予約など、全てのサービスが利用できなくなりました。
週末、多くの人でにぎわうユニバーサル・スタジオ・ジャパンでも…。
場内アナウンス
「ただいまパーク内でシステム障害が発生しております。パーク内のレストラン、物販店舗などのご利用を制限しております」
会計システムに障害が発生し、レストランやショップのほぼ全てのレジが数時間にわたって使えなくなったといいます。
■空港や銀行がストップ
日本での被害はむしろ軽微なほうだったかもしれません。同じころ、この障害は世界中で大混乱を巻き起こしていました。
空港はどこもかしこも大行列。搭乗便を知らせる巨大なモニターには何も映し出されていません。アメリカの大手航空3社は、グローバル・グラウンド・ストップ『全世界運航停止』という措置を決めました。BBCによると、世界で欠航になった航空便は少なくとも約1400に上っていて、さらに増えるとみられています。
利用客(サンフランシスコ国際空港)
「ヒューストン経由でベリーズに行くのに荷物も預けられない。全てのフライトが…世界中で起きているみたい。次どうするか決まるまでは、ここで足止めです」
利用客(シドニー国際空港)
「フライトがキャンセルされたと言われるまでずっと待っていました。別の航空券を予約したいけど600ドルもするので…あきらめます」
■医療システムや緊急通報まで…
イギリスでは医療システム全体での障害も起きていて、救急搬送の受け入れを制限する病院もでているといいます。
ニュースが放送できなくなったテレビ局。復旧に数時間かかりました。
英・スカイニュース
「スカイニュースです。トップニュースは。世界的なITの大停電。世界の大企業が影響を受けていて、スカイニュースも例外ではありません」
アメリカでは複数の州で、911緊急通報システムに通信障害が起きたといいます。
世界で見られた影響は数えればきりがないほどで、私たちの生活がいかに“IT”と一体化しているかを思い知らされます。
■サイバー攻撃の可能性は?
ただ、今回障害が起きたのはWindowsのパソコンの全部ではなく一部です。何が起きたのでしょうか。
サイバージムジャパン 中本有哉さん
「今、世界各地で起こっている障害は、アメリカ企業の『クラウドストライク』というサイバーセキュリティー製品による障害と推測されている。システムファイルの一部にトラブルを引き起こすアップデートが意図しない形で不具合を起こし、トラブルになった」
Windowsで大きなシェアを占めるセキュリティーソフトがユーザーのパソコンにアップデートされた際、不具合が起きたということのようです。
そもそもセキュリティーソフトは、サイバー攻撃の兆候を検知するため、パソコンの基幹となる部分に組み込まれています。ひとたびソフトに問題が起きるとパソコンそのものに致命的なダメージを与えてしまうといいます。
サイバージムジャパン 中本有哉さん
「本来はサイバーセキュリティーのためのソフトで障害が起こった。その予兆を検知するのは非常に難しい。様々な業界・業種、重要インフラや金融・政府機関でも障害が起こって業務が止まってしまった」
世界的システム障害の原因となったクラウドストライク。今回の件はサイバーアタックではないと発表し、パソコンを復旧する手順を公開しています。
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