11月の米大統領選に向けて中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれている共和党全国大会は18日に最終日を迎え、大統領候補に指名されたドナルド・トランプ前大統領(78)が受諾演説を行う。13日に選挙集会で演説中に銃撃された後、公の場で演説するのは初めて。
トランプ氏は演説では、民主党への批判よりも「米国の団結」を重視する姿勢への転換を事前に示唆していた。演説が基盤とする支持層以外にどれだけ響くかは、今後の選挙戦にも影響を与えそうだ。
15日に始まった党大会では、銃撃事件を受けて、トランプ氏を神聖視する動きが一段と進んだ。
銃撃でトランプ氏は右耳を負傷したものの急所を回避したため、トランプ派の有力議員らは「神が救った」「神に生かされた」と相次いで賛美。保守派の間では、陰謀論も含めてトランプ氏を「救世主」とみなす考え方が従来もあったが、事件でトランプ氏のカリスマ性がさらに高まっている。
一方、トランプ氏の家族も次々と登壇し、「独善的」「差別主義者」とのイメージが強いトランプ氏の人間味や優しさをアピール。トランプ氏も派手なパフォーマンスは避け、柔和な表情で演説を見守ってきた。
18日の演説の原稿は、銃撃事件を受けて全面的に書き直され、トランプ氏自身が内容を入念に検討している。攻撃的な言動で民主党やジョー・バイデン大統領(81)を批判してきた従来のスタイルをどこまで転換するかが焦点となる。
一方、民主党は8月19~22日に中西部イリノイ州シカゴで開く党全国大会までに、党候補を正式に指名する見通しだ。ただ、候補指名争いを制したバイデン氏は、6月のトランプ氏とのテレビ討論会で高齢不安を露呈し、党内から選挙戦撤退を求める声が噴出している。出馬断念の行方や断念した場合の候補選定プロセスは不透明で、混乱が続いている。
米大統領選は11月5日に投票日を迎える。弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)が出馬を目指しているほか、緑の党やリバタリアン党など小規模政党も候補を擁立する方針だ。州によっては9月から期日前投票が始まる予定だ。【ミルウォーキー秋山信一、八田浩輔】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。