11月の米大統領選を巡って、共和党のトランプ前大統領(78)が、無所属で出馬を目指す弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)に電話で選挙戦撤退を暗に求める様子を収めた動画がインターネット上にリークされた。ケネディ氏は出馬すれば「第三の候補」として選挙戦に影響を与えるとみられており、陣営は今のところ撤退を否定している。
トランプ氏は動画の中で「あなたにしてほしいことがある。非常にすばらしいことだ。我々は勝つのだ」と述べた。ケネディ氏は陣営関係者が撮影していた動画だと認め、「非常に恥ずかしい」と陳謝した。
撮影されたのは13日のトランプ氏の銃撃事件後だとみられ、トランプ氏は耳を貫いた銃弾について「まるで世界最大の蚊のような音がした」と語った。見舞いの電話をかけた民主党のジョー・バイデン大統領(81)については「とても親切だった」と述べた。ケネディ氏の持論である「ワクチン懐疑論」に、トランプ氏が同調する場面もあった。
ケネディ氏によると、陣営関係者が動画を撮影している際に電話があり、そのまま撮影を続けていたという。スピーカー機能を用いており、トランプ氏の声が記録されていた。
米メディア「ポリティコ」によると、トランプ氏は15日朝にも、共和党全国大会の開催地・中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで、ケネディ氏と会談した。ケネディ氏が出馬を断念し、トランプ氏支持に回る可能性について協議したという。
ケネディ氏は民主党から出馬を模索したが、党候補指名争いでバイデン氏に勝つ見通しが立たず、無所属での出馬を目指す方針に切り替えた。世論調査では10%前後の支持率がある。ワクチン懐疑論を支持する保守派にも一定の支持があり、出馬した場合は2大政党のどちらから票を奪うかによって勝敗が左右されるとの見方がある。
ケネディ氏はロバート・ケネディ元司法長官の息子で、ケネディ元大統領のおいに当たる。【ミルウォーキー秋山信一】
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