アメリカのバイデン大統領は、日本製鉄による「USスチール」の買収計画に反対している労働組合の本部で演説し、買収に否定的な考えを強調しました。大統領の真意はどこにあるのでしょうか?

記者
「バイデン大統領が全米鉄鋼労働組合の本部に姿を見せました。演説を始めています」

アメリカ バイデン大統領
「USスチールは1世紀以上にわたり、アメリカの象徴的な企業だった。今後も完全なアメリカ企業であり続けるべきだ」

バイデン大統領は17日、日本製鉄によるUSスチールの買収計画に反対しているUSW=全米鉄鋼労働組合に歩調を合わせる姿勢を改めて鮮明にしました。

バイデン氏がUSWに寄り添うのにはワケがあります。USWの本部があるペンシルベニア州は大統領選の勝敗を左右する激戦州で、トランプ前大統領との大接戦が予想されています。

バイデン氏は勝つために、州内だけで5万人もの組合員を抱えるUSWの支持が欠かせないのです。

全米鉄鋼労働組合(USW) マッコール委員長
「私たちは大統領が買収計画を支持しない考えを示したことに感謝しています」

バイデン氏が労働組合にアピールしている国内産業保護の姿勢は、トランプ氏が訴える「アメリカファースト」とそっくりです。

日本製鉄による買収計画は、大統領選を前に内向きになるアメリカに振り回される状況が続きます。

一方、この演説の中で、バイデン大統領は中国製の鉄鋼とアルミに課している制裁関税を、現在の3倍に引き上げることを検討すると正式に表明しました。

バイデン氏は、中国政府が鉄鋼メーカーに多額の補助金を支給して過剰な生産を行い、鉄鋼価格の下落を招いているとして「不正を働いている」と強く批判。国内の鉄鋼産業を保護する政策を改めてアピールした形です。

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