【ワシントン=渡辺浩生】米下院歳出委員会は17日、ウクライナ、イスラエル、台湾を個別に支援する3本の緊急予算案を公表した。上院を通過した一括の予算案を対象別に切り分けたもので、トランプ前大統領の意向に配慮してウクライナ向けには一部借款も取り入れた。ジョンソン下院議長(共和)は20日に可決を目指す考えを示した。
ロシアの侵略が続くウクライナ向け支援を巡っては、共和党が多数派の下院で支援再開に反対する保守強硬派の抵抗により、緊急予算の採決が宙に浮く状態が続いた。この間、米国の支援が滞り武器弾薬不足に悩むウクライナは露軍の激しい攻撃に苦戦を続ける。
バイデン大統領は17日の声明で、公表された3つの予算案を速やかに可決するよう議会に求めたうえで「われわれの友人を支えるというメッセージを世界に送るため、私はすぐに署名する」と訴えた。
緊急予算案はウクライナに約600億ドル(約9兆2000億円)、イスラエルに約260億ドル、台湾などインド太平洋地域向けに約80億ドル。ウクライナには、経済支援の約95億ドル分を返済義務のある借款とする。「無償ではなく貸し付けにすべきだ」とするトランプ氏の意向をジョンソン議長が反映させたものだ。
イランがミサイルや無人機(ドローン)でイスラエルを攻撃したことも、緊急支援予算成立の必要性を裏付けた。だが、共和党保守強硬派の一部は、ジョンソン氏の辞任を求める動議を提出する意向を示しており、採決の行方はなお不透明な状況だ。
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