中南米カリブ海一帯で今季初となるハリケーンが発生し、史上最も早い時期に最も強い「カテゴリー5」に発達した。各国に被害をもたらし、警戒が強まっている。
■海全体に影響も…メキシコに上陸か
グレナダ ミッチェル首相 この記事の写真 グレナダ ミッチェル首相「破壊の程度を見ると、まるでアルマゲドン(世界の終わり)のようです。完膚なきまで自然環境は破壊されました。カリアク島には、文字通り草木一本残っていません」
今回のハリケーンで、カリブの島国・グレナダでは3人の死亡が確認された。
大西洋で発生した今年最初のハリケーン「ベリル」が猛威を振るっている。
ハリケーン「ベリル」が猛威を振るカリブ海の島々を襲いながら西に進み、2日には中心付近の最大風速がおよそ70メートル。ハリケーンの強さを現す5段階のうち、最も強い「カテゴリー5」にまで発達した。
世界気象機関(WMO) ヌリス報道官 世界気象機関(WMO)ヌリス報道官
「これは大西洋・カリブ海・中央アメリカ海域で、史上最も早い時期にカテゴリー5となったハリケーンです。とてもとても活発で、とてもとても危険なハリケーンシーズンの前兆となり、海域全体に影響を及ぼすだろうと私たちは懸念しています」
その進路にあったジャマイカでは、ホルネス首相が次のように呼び掛けた。
ジャマイカ ホルネス首相 ジャマイカ ホルネス首相「すべてのジャマイカ人に、避難勧告が出された場合には従うよう強く求めます」 ジャマイカを直撃
政府が警戒を呼び掛けるなか、ハリケーン「ベリル」はジャマイカを直撃。勢力を弱めていたものの、およそ1000人が避難を余儀なくされた。「カリブ海一帯で、少なくとも9人が死亡した」とCNNは報じている。
今後も西に向かい、最大風速50メートルの勢力を保ったままメキシコのユカタン半島に上陸するとみられている。
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■命懸けでデータ収集 ハリケーンハンター■命懸けでデータ収集 ハリケーンハンター
ハリケーンと闘う組織毎年、ハリケーンの被害に遭うアメリカでは接近するハリケーンと命懸けで闘っている人たちがいる。
それが「ハリケーンハンター」と呼ばれる人たちだ。防災に役立てるため、ハリケーンがどれほどの強さなのか航空機を使って実際にハリケーンの中心に飛び込み調査する組織で、アメリカ・メディアなどによると、アメリカ海洋大気庁と空軍に存在している。
始まりは1944年始まりは1944年、空軍のハリケーン調査での飛行。危険な任務のため、過去には6機の観測機が失われ、53人が犠牲になったという。ただ、ここ50年は機体損失など重大な事故は起きていないという。
体力が求められるそして2022年には、アメリカ海洋大気庁が航空機に乗って気象のデータを収集する気象学者を募集。年収は日本円でおよそ1065万円から1660万円。条件は、乱気流の中を飛行するため、耐えられるだけの体力などが求められる。採用された場合は海への落下に備えて海上トレーニングも課され、年間最大90日の出張もあるそうだ。
ミッションに使用する観測機ハリケーンハンターがミッションに使用する観測機の一つには、ヨーロッパと北アメリカに接近するハリケーンの研究に使用されている。
ハリケーンの構造や強さを調べる激しい稲光のなか、ハリケーンの中心部で測定機器を空中投下して、風と気圧の変化を測定することでハリケーンの構造や強さを調べる。
こうしたデータがハリケーンの進路などの予報に役立てられているという。命を懸けてまで、なぜハリケーンの中でデータを収集をするのか?
気象予報士 水越祐一さん気象予報士の水越祐一さんは、「気象衛星による観測からハリケーンの中心気圧や最大風速を推測することはできる。ただ、正確なデータは、中心付近に飛び込むことでしか得ることができない」と話す。
命を救うことに役立てているこうしたデータを元に予報に役立て、より早く避難場所を探し、人々が避難するなど命を救うことに役立てているという。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年7月5日放送分より)
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