日本人の観光地としては、あまりメジャーではないものの、300以上の日系企業が進出しているミャンマー。

ミャンマーで9店舗を展開するイオングループのスーパーが、軍事政権の強硬策に巻き込まれています。

ミャンマーの国営テレビが、当局が、小売店の幹部4人を拘束したと伝えました。その中に日本人の名前がありました。イオンによりますと、『イオンオレンジ』商品本部長を務める笠松洋さん(53)だといいます。
拘束の理由は、米を規定より高い価格で販売したというものでした。

2021年2月、ミャンマーでは、国軍が総選挙に不正があったと主張し、クーデターを引き起こしました。民主化指導者・アウンサンスーチー氏は拘束され、軍が全権を握っています。

市民は、抵抗を示してきましたが、軍はこれを力で弾圧。国内の各地で民主派勢力や少数民族に対する攻撃を加えてきました。

多くの人々が家を追われ、国内避難民は300万人を超えたといわれています。

政情不安に陥ったミャンマーの人々が、いま直面しているのが、物価の高騰です。

タクシードライバー
「ガソリンの値上がりで、お客さんが少なくなって、乗車賃の値上がりで、お客さんが少なくなって。そのため、収入が少なくなりました。収入は少ないのに、買うべきものは、すべて高い」

最大都市・ヤンゴンに住む日本人が撮影したスーパーマーケットの映像。卵は1パック240円とあります。以前は、130円ほどだったそうです。

ヤンゴン在住(50代)
「(物価は)1年間で2〜3倍に上がっていると思います。急に上がった感じはあります。お米も、昔の2倍以上、値上がりしていますね。お米が美味しいのは、北の地方のシャンという、いま戦闘が激しいエリアで。美味しいし、人気があったんですが、いまは置いていない」

クーデターと国民への弾圧が引き金を引いた物価の高騰。軍事政権は、その責任を業者に押し付けています。

国家統治評議会
「国家が国内経済の安定と発展のために努力するなか、一部の業者が、経済の混乱を引き起こそうと、国内市場で米の価格を引き上げている」

先月25日のヤンゴン市内の市場。長い行列ができました。米の業界団体が、安い価格で販売するとして、開いた市場です。現地メディアによりますと、この数日前、業界団体のトップらが、米の価格統制に従わなかったとして、拘束されていました。さらに、当局は、米が規定の価格で販売されているか、警官同席で現地調査を行っています。

こうした圧力や身柄の拘束で、強制的に価格を下げさせようとする軍事政権。国民の不満をそらすためなのか、こんなプロパガンダ映像を公開しています。

ミャンマー情報省
「私たち低所得層が、低価格で購入できるように、関係者や政府などがお米、約2キロを3000チャット(約150円)で販売してくれていることに感謝しています」

ある米業者は、業界関係者の相次ぐ拘束について、こう語りました。

米業者
「問題解決にならないと思います。すべての物価が上がっているので、米も上がることになります。彼らも生産や人件費のために上げなければならないですし。元締の業者が値上げし、全体的に物価が高くなってきているから、ここだけを統制して拘束するのは正しくはないと思います」

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