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バイデン大統領とトランプ前大統領との直接対決、討論会が先日行われました。
生放送で90分、高齢の2人の対決はどうだったのでしょうか。日本にも大きく関係する大統領候補のこと、詳しく解説してまいります。

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■そもそも討論会って何?どうしてこの時期に?

日本でも党首討論や自民党総裁選の討論会などやってますが、これほど注目されるのは
アメリカならではといっていいでしょう。日本に観光にきたアメリカの人に聞いても
家族そろってみる、バーで見る、などまるでスポーツイベントのように積極的に討論会の中継を見ている様子がわかります。

アメリカ大統領選挙の討論会は1960年に始まり、1976年から恒例のイベントとなっています。
今ではテレビやインターネットで生中継されて、数千万人が視聴すると言われています。
世界に大きな影響力を持つアメリカ大統領、その候補者が直接顔を合わせて議論するのは実はこの討論会だけ。そのため、討論会が「大統領選挙の勝敗を分ける」とも言われているんです。だから注目されるんですね。

今回話を聞いたアメリカ人観光客の中には「2人を見ていると悲しくなる」「どちらも好きではない」そんな意見もありました。こんな調査結果があります。

バイデン大統領とトランプ氏、どちらが好きかと尋ねたところ、実は
「どちらも嫌い」と答えた人が25%、と過去10回の大統領選挙前、同時期の調査の中で
最も高かったんです。

大きな理由の一つが年齢と言われています。バイデン大統領は81歳、トランプ氏は78歳。
4年の任期のあるアメリカ大統領という激務をこなせるのか、不安の声が強いんです。

ではそんな2人の討論会、どうして今行われたのでしょうか。
実は今回の6月開催というのは異例のことだったんです。通常は9月以降におこなわれます。
というのも、バイデン大統領もトランプ氏もまだ正式な候補ではありません。7月〜8月に開かれる党大会でおそらくこの2人が候補者に選ばれるだろう、というだけで、まだ決まってないんですね。

そんな2人の討論会が今行われたのにはこんな思惑があると言われています。

1. 通常の討論会の日程では既に期日前投票が始まっている
2. バイデン大統領は討論会で支持率をアップさせたい&トランプ氏は裁判のマイナスイメージを払拭したい
3. テレビ局としては視聴率を稼げるイベントを逃したくない

こうした思惑が絡み合った結果、正式候補でもない2人が討論会を行った、というわけなんです。

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■池上彰はどう見た?討論会

■池上彰はどう見た?討論会

では実際、討論会はどうだったのでしょうか。
アメリカのメディアでも言われていましたが、バイデン大統領の様子はかなり心配でした。
そして4年前ほどではないですが、今回もなかなかに非難の応酬で言い合いがひどかった、というのが一番の印象です。

特にバイデン大統領、高齢という批判があったため、本当なら討論会でハツラツとした元気な姿を印象付けたかったはずです。その点ではまさに大失敗と言っていいでしょう。討論会の後陣営は「バイデン大統領は風邪をひいていた」と発表していますが、声もかすれていましたし、トランプ氏に「何を言っているのかわからない」と突っ込まれたりもしていましたね。大事なところで数字を間違えてもいました。

一方でトランプ氏は誇張した表現が目立ちました。アメリカでも「事実ではない発言が含まれていた」と早速報じられています。
高齢不安と誇張発言。今回の討論会はそれに尽きると言ってもいいでしょう。
これらをアメリカ国民がどう受け止めるのか、そこがポイントとなってきます。

バイデン大統領の民主党からは「候補者を代えたほうがいいのでは」という声もあるといいます。それでもバイデンさんは現職の大統領です。本人が出ない、と言わない限りほかの候補者をたてようとすると党内が分裂してしまいます。簡単に他の人で、とは言えない状況なんです。

アメリカ大統領選挙の結果はアメリカ国内だけでなく、日本、そして世界に大きな影響を与えます。11月の大統領選挙本番まで目が離せません。

(池上彰のニュースそうだったのか!! 6月29日OAより)

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