東京スカイツリーが国連カラーの青にライトアップされるなど、「世界難民の日」に合わせて各地でイベントが開かれました。一方、難民申請中の在日外国人の間では、今月10日に改正入管法が施行されたことで不安が広がっています。

 20日、難民問題への理解を深めようと、国連カラーの青にライトアップされた各地のランドマーク。

 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によりますと、世界の難民は12年連続で増え、1億2000万人を超えたといいます。

 紛争や迫害を理由に日本に来る人もいます。

 17年前、政治的弾圧を恐れてイランから来日したという男性は現在、2回目の難民申請中で、入管から許可を得て収容を逃れて仮放免となり、都内で暮らしています。

 改正入管法が施行された翌日、入管へ仮放免の延長手続きをしに行った時のことでした。

イラン人男性
「より厳しく『帰国をしてほしい』『帰国しないと強制送還になる』と」

 退去を促す通知も手渡されたといいます

 10日に施行された改正入管法では、3回目以降の難民申請で難民と認められなければ強制送還の対象となります。

 現在、2回目の申請中のこの男性の場合、今回の申請で難民認定されなければいつ強制送還となってもおかしくない状態となります。

イラン人男性
「強制送還されたら命の安全は保証がない。入管から強制送還のプレッシャーが始まり、精神的にとても困っています」

 トルコで迫害を受けた事を理由に来日したというクルド人が多く暮らす埼玉県川口市では、世界難民の日に合わせて彼らの国内外での生活の様子を映した写真展が開かれました。

クルド人男性
「チーズとかヨーグルトを作って食べていました」

 9年前、妻の親族を頼って来日したというクルド人男性。当時は職場でクルド語の使用を禁止されるなど、「これ以上トルコにはいられない」と感じたといいます。現在は3回目の難民申請中です。

 来日後に3人の子どもが生まれ、上の2人の子どもは地元の小学校に通っています。

クルド人男性
「家族は皆、仮放免だから何も(仕事が)できない。子どもたちはまだ小さいけど大学まで行ってほしい。ビザを取ったら頑張って仕事をして、日本で子どもたちのために頑張る」

 強制送還に関する連絡は来ていないと言いますが。

クルド人男性
「いつも私たち自分で家でそういう(強制送還される)ことを考えています。どうするこれから。入管の考えが分からない。子どもたちが学校に通い、私たちも真面目に生活をしている」

 難民認定については法改正前から「審査の過程や基準が不透明」といった批判が上がっていました。今後、状況は改善されるのでしょうか。

 入管庁はANNの取材に対して「難民条約の定義に基づいて難民と認定すべきものを認定している」としています。

 改正入管法施行後、監理措置制度が始まり、入管に認められた「監理人」の監視のもとで暮らさない限り、原則、入管に収容されることになります。

 しかし、現時点では具体的な運用に関する情報は少なく、対象の外国人や支援者も様子を見ている状態です。

支援団体 在日クルド人と共に 温井立央さん
「少なくとも私たちには情報がない。監理人制度にしても、誰が監理人になるのか分からない。運用されてみないと分からないというのが大きい。多様な背景を持つ人とどういう社会を作っていくかもう少し議論されるべき」

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