集会で演説する仏極右政党「国民連合」のバルデラ党首=パリで20日、ロイター

 フランスの極右政党「国民連合」のバルデラ党首は24日、6月30日、7月7日に投票が行われる仏国民議会(下院)選挙で勝利した場合、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を継続する一方で、長距離ミサイルの提供や仏軍の派遣などについては反対する方針を表明した。

 バルデラ氏は記者会見で「欧州で戦争が続く中、国際社会におけるフランスの関与に疑問を投げかけ、信用を落とすつもりはない」と述べ、ウクライナへの防衛装備の供与を継続すると強調。一方で長距離ミサイルや、ロシアの都市を直接攻撃するための兵器は戦争の拡大につながり、「レッドライン(許容範囲)を越える」と述べた。軍派遣についても反対する意向だ。

 マクロン大統領はこれまで、ウクライナに長距離ミサイルを供与してきたほか、ウクライナ兵の訓練のための軍派遣にも前向きな姿勢を見せており、ウクライナ支援を巡る方針の違いが明確になった。

 フランスでは大統領が軍のトップを務め、外交、国防などの権限を持つ。一方で首相は予算策定に関する権限を持つため、国民連合が下院選で勝利し、バルデラ氏が首相に就任した場合、フランスのウクライナ支援が弱まる可能性がある。

 国民連合は2017年、ルペン前党首がプーチン露大統領と会談するなど、以前はロシアと良好な関係だった。バルデラ氏はロシアについて「フランス、欧州にとって多面的な脅威だ。国益に抵触するロシアのあらゆる企てを強く警戒する」と述べ、ロシアに弱腰であるとの批判の払拭(ふっしょく)にも努めた。

 大手調査機関IFOPとフィガロ紙などが21日発表した世論調査では、国民連合が支持率35%で首位に立ち、社会党などの左派連合が29%で2位、マクロン氏の与党連合は21・5%の3位につけている。【ブリュッセル宮川裕章】

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