過酷な暑さで750人超が死亡したと報じられるイスラム教の聖地、サウジアラビア西部メッカへの大巡礼(ハッジ)を巡り、6月中旬の巡礼期間中の熱波は人為的な気候変動によって激化した可能性が高いとの分析を国際研究グループが20日、発表した。
メッカの聖モスクでは17日に気温が51・8度まで上昇した。研究グループは過去40年以上の衛星観測データを分析。20世紀末に同様の規模の熱波が発生したと仮定した場合と比べて、今回は最大で2・5度気温が高くなっていたことが示唆されたという。この差は自然のゆらぎでは説明できず、人為的な気候変動に起因すると結論づけた。
メンバーの一人で、イタリア国立地球物理学火山学研究所のトマソ・アルベルティ研究員は「人口密度の高い中東の都市の歴史地区や宗教地区は、緊急の公衆衛生対策が必要だ」と指摘する。
ハッジはイスラム教徒の義務とされる五行の一つで、経済的、肉体的に可能であれば一生に1度は行うべきだとされる。巡礼者は時間をかけて資金をためた高齢者も多く、猛暑の中、長時間歩くことの負担はかねて指摘されてきた。
巡礼者の死者は1000人を超えたとの報道もある。エジプト当局によると、少なくとも530人のエジプト人巡礼者が死亡した。サウジ当局は死者について詳しい発表をしていない。【ニューヨーク八田浩輔】
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