シリーズ『現場から、』です。きょうは「世界難民の日」です。難民・避難民の数は、全世界で1億2000万人と過去最多になっていて、日本の難民への対応が改めて課題となっています。キーワードは「難民とウクライナ避難民」です。

ウクライナ避難民 カテリーナさん
「一番好きです」

郷土料理「ボルシチ」を運ぶウクライナ避難民のカテリーナさん(35)。日本での生活は1年半が経とうとしています。首都圏の住宅地に息子や祖母ら4世代で暮らしていて、取材中は時折、笑顔も。ただ、ロシアによる侵攻当時の話を聞くと…

ウクライナ避難民 カテリーナさん
「どこに逃げればいいのか、何をすればいいのか分からない。最初、これは全て何かの勘違いなのではないかと思いました」

今は週に3日・1日3時間、コンビニで働いて生計を立てていますが、物価が上がり、貯蓄をする余裕はありません。

小学5年生の息子はウクライナで始めた空手の道場にも通っていて、そんな息子の姿がカテリーナさんにとっての「希望」になっています。

ウクライナ避難民 カテリーナさん
「息子は自分を誇らしく思っているのでしょう。なぜなら彼の夢が叶ったからです。極真空手の発祥地に来ることができ、良いトレーナーにも出会いました」

日本には、元兵士のウクライナ避難民もいます。

元ウクライナ兵 ビゾンさん
「ここに(砲弾の破片が)刺さった」

前線で任務についていたビゾンさん(48)。来日からまもなく1年ですが、今でも戦地の夢を見て冷や汗をかくことがあると話します。ロシア軍による砲弾が着弾した衝撃で脳しんとうを起こし、戦線を外れ、家族の避難先が日本だったことから来日することになりました。

元ウクライナ兵 ビゾンさん
「日本は避難民などに対して、扉を開いてくれた。ものすごい数のウクライナ避難民を受け入れてくれました」

日本では、戦禍を逃れたウクライナの人々を「難民」ではなく「避難民」として受け入れています。

その数、2631人。“例外的な対応”として長期滞在も可能な在留資格を認めるなど、日本政府は「ウクライナ避難民」に柔軟な措置をとっています。

一方で、去年「難民」として認定したのはわずか303人。難民の受け入れに厳格な対応を取ってきた日本は欧米諸国と比べ、狭き門となっているのが実情です。

千葉大学 小川玲子 教授
「日本は難民認定の基準がとても狭いので、こぼれ落ちてしまう人たちがたくさんいる。低いほうに合わせるのではなく、ウクライナ避難民に対する支援というのをどのような形で普遍化していくことができるかが課題かと思っています」

先月、世界の難民・避難民が日本の総人口に近い1億2000万人に達し過去最多になるなか、日本はウクライナ避難民への対応に続く形で難民にも支援を広げていくことができるのでしょうか。

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